3-3 分配金とは何か
投資信託の分配金が出る仕組み、基準価額が下がる理由(分配落ち)、普通分配金と特別分配金の違いを解説します
3-2 インデックスとアクティブ で運用の手法を見たところで、このページでは投資信託を持っていると受け取ることがある 「分配金」 について見ていきます。
分配金を「預金の利息のように、持っているだけでおまけとして定期的にもらえるお金」と思っていると、損をしていることに気づけない原因になります。分配金が出たとき、ファンドの資産や基準価額がどう変化するのか、その仕組みを正しく知っておきましょう。
- 分配金は、ファンドの資産(純資産総額)を取り崩して投資家に支払われるお金です。
- 組み入れている株から配当が出ても、自動的に投資家に配られるわけではなく、ファンドの方針によって決まります。
- 分配金が支払われると、支払われた金額と同じ分だけファンドの資産が減り、基準価額も下がります(分配落ち)。
- 分配金には、運用で出た利益から支払われる「普通分配金(税金がかかる)」と、元本の払い戻しである「特別分配金(非課税)」の2種類があります。
- 儲かっているかどうかは、いまの基準価額とこれまでに受け取った分配金の合計(トータルリターン)で判断します。
1. 分配金が出ると、基準価額はその分下がる
投資信託の分配金は、どこか外部からプレゼントされるボーナスではありません。ファンドが持っている財産(純資産総額)の中から、一部を現金として投資家に払い戻す仕組みです。
ファンドの資産から投資家へ現金を支払うため、分配金が出ると、ファンド全体の資産(純資産総額)は支払った金額分だけそのまま減ります。基準価額は1口あたりの資産価値なので、基準価額も支払われた分配金の分だけ必ず下がります。これを 「分配落ち(ぶんぱいおち)」 と呼びます。
つまり、分配金が出た瞬間に自分の財産が急に増えるわけではありません。「投資信託の中にあった自分のお金の一部を、現金として手元の口座に移し替えただけ」という点がポイントです。
2. 「普通分配金」と「特別分配金(元本払戻金)」の違い
分配金を受け取るとき、そのお金が「利益から出たものか」「自分の元本を取り崩したものか」によって税金の扱いが変わります。
- 普通分配金(税金がかかる): 自分が買ったときの基準価額(個別元本)を上回っている利益の中から支払われる分配金です。利益の払い戻しなので、約20%の税金が引かれます。
- 特別分配金/元本払戻金(非課税): 自分が買ったときの基準価額を下回っている状態で支払われる分配金です。これは利益ではなく「自分が預けた元本の一部がそのまま返ってきただけ」なので、税金はかかりません。
この違いを知らないと、「税金が引かれずに分配金がたくさんもらえてお得だ」と勘違いして、実際には自分のお金を切り崩して返してもらっているだけだった、という失敗につながります。
3. 「トータルリターン」で損益を見る
分配金を出すファンドを持っている場合、儲かっているかどうかは「いまの基準価額」だけを見ていても分かりません。また、「これまでにいくら分配金をもらったか」だけでも判断できません。
大切なのは、いま持っている投資信託の価値と、これまでに受け取った分配金を足し合わせた 「トータルリターン」 で考えることです。
トータルリターン = (いまの時価 + これまでに受け取った分配金の合計) - 投資した元本
基準価額が買ったときより下がっていても、それ以上に分配金を受け取っていればトータルではプラスです。反対に、毎月たくさん分配金をもらっていても、基準価額がそれ以上に大きく下がっていれば、トータルではマイナス(損をしている状態)になります。
次節 3-4 分配金を出すケースと再投資されるケース では、分配金を現金で受け取る場合と、ファンドの中でそのまま再投資する場合で、将来のお金の増え方にどんな違いが出るかを見ていきます。