全世界株式とS&P500を両方持てば分散になる?
ファンドの名前だけで安心せず、実際の国や銘柄の中身の被りから本当の分散効果を確かめます
「全世界株式(オルカン)」と「S&P500」の投資信託を両方買っていると、「世界全体とアメリカの両方に分けたから、しっかり分散投資ができている」と感じるかもしれません。
しかし、これは商品の名前から受ける印象に過ぎません。実は、代表的な全世界株式インデックス(MSCI ACWIなど)の中身を見ると、約6割をアメリカ株が占めています。そのため、全世界株式に加えてS&P500を買うと、同じアメリカの巨大IT企業の株を二重に買い増すことになります。
- 「全世界」という名前であっても、世界の国々に均等に投資されているわけではありません。
- 全世界株式は市場の規模に合わせて配分されているため、約6割がアメリカ株で占められています。
- S&P500を一緒に持つと、上位に入っているアメリカの大型株の割合がさらに高くなります。
- 両方持つこと自体が間違いではありませんが、「分散」ではなく「アメリカ株をさらに厚く持っている」と理解しておくことが大切です。
1. 「全世界」といっても均等ではない
商品名に「全世界」とついていても、世界中の国々に同じ割合で投資されるわけではありません。代表的な株式の指数は、それぞれの国の市場の大きさに比例して配分する「時価総額加重平均」というルールで作られています。その結果、世界で最も市場が大きいアメリカが、全体の約6割を占めることになります。
つまり、全世界株式を持つことは「世界各地に均等に分ける」ことではなく、「世界の市場の大きさに合わせて持つ」ことを意味します。この仕組みを知っておくことが大切です。
2. S&P500を重ねると、同じ銘柄が被る
S&P500は、アメリカの主要な大企業500社で構成される指数です。しかし先ほど見たように、全世界株式の上位銘柄もアップル、マイクロソフト、エヌビディア、アマゾンといったアメリカの巨大IT企業が上位を占めています。
そのため、全世界株式に加えてS&P500を買い足すと、持っているファンドは2本に増えますが、中身としては同じアメリカの大型株への集中度がさらに高まります。「全世界とアメリカに分けた」つもりでも、実際には「アメリカの大型株に集中して投資している」状態になります。
3. 両方持つなら「分散」ではなく「アメリカ重視」と考える
全世界株式とS&P500を両方持つこと自体が悪いわけではありません。「全世界株式を基本にしつつ、今後もアメリカ企業が世界を引っ張っていくと信じているので、アメリカの比率を意識して高めにしたい」という明確な考えがあるなら、合理的な選択です。
大切なのは、「リスクを分散できている」と思い込まず、「アメリカ市場により強く賭けている」と自覚して持つことです。
もし特定のアメリカ経済の波に左右されないように、純粋にリスクを分散させたいのであれば、S&P500を重ねるよりも、次のような組み合わせを考えた方が効果的です。
- 別の国や地域を組み合わせる: アメリカ以外の先進国や新興国の株式を足す
- 別の種類の資産を組み合わせる: 株式だけでなく、債券や金(ゴールド)、不動産(REIT)などを足す
自分の持ち物を見直すときは、次の3点を確認してみましょう。
- 持っている全世界株式ファンドの中で、アメリカ株が何%を占めているか
- S&P500を加えることで、資産全体のアメリカ株の割合が何%になっているか
- その割合が、自分の目指す「分散投資」に合っているか
「全世界」という名前に安心せず、中身の国や上位銘柄を確かめることが大切です。リスクの大きさは、商品の看板ではなく、中に入っている資産の組み合わせで決まります。
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