3-2 インデックスとアクティブ
市場の平均を目指すインデックス運用と、平均以上を狙うアクティブ運用の違い、手数料の差、使い分け方を解説します
3-1 投資信託って何? で見たように、投資信託はたくさんの資産をまとめた商品です。次に知っておきたいのは、「その商品をどんな方針で運用しているか」 というスタイルの違いです。
投資信託の運用方針は、市場全体の平均と同じ成果を目指す 「インデックス運用」 と、市場平均を上回る成果を狙う 「アクティブ運用」 の2つに大きく分かれます。
このページで押さえたいこと
- インデックス運用は、日経平均株価やS&P500といった特定の指数(市場の平均点)と同じ値動きを目指す運用です。
- アクティブ運用は、専門家(ファンドマネージャー)が調査や予想を行い、市場平均を上回る利益を狙う運用です。
- 過去のデータ(SPIVAなどの調査)によると、10〜15年といった長い期間では、アクティブファンドの7〜8割以上がインデックス運用の成績を下回っています。
- 成績に差がつく一番の原因は、アクティブファンドにかかる「運用管理費用(信託報酬)」の高さです。
- 資産づくりの基本としては、まず低コストなインデックスファンドを中心に据え、こだわりがある場合のみアクティブファンドを少し組み合わせる方法が現実的です。
1. インデックス運用の考え方:市場の平均点を低コストで手に入れる
インデックスファンドは、S&P500、日経平均株価、TOPIX、全世界株式(MSCI ACWI)など、代表的な株価指数と同じ値動きをするように作られています。
その背景にあるのは、「どの会社が勝ち残るかをプロでも完璧に当て続けるのは難しいため、市場全体の株を丸ごと持っておくのが一番確実で合理的である」という考え方です。
代表的な株価指数の特徴
| 指数名 | 対象の地域・銘柄 | 特徴 |
|---|---|---|
| S&P500 | 米国・大型株 | 米国の代表的な企業500社で構成され、米国株式市場全体の時価総額の約8割をカバー |
| TOPIX | 日本・市場全体 | 東証プライム市場を中心とした、日本株全体の動きを表す指数 |
| 日経平均株価 | 日本・主力大型株 | 日本を代表する225社を選んで計算した、ニュースで最もよく聞く指数 |
| MSCI ACWI | 全世界(先進国+新興国) | 世界の約50カ国・約3,000銘柄で構成される、いわゆる「オルカン」の基準指数 |
| MSCI World | 先進国(新興国を除く) | 日本を含む先進国の主要企業で構成される指数 |
個別企業を1社ずつ詳しく調べたり頻繁に売り買いしたりする必要がないため、運用にかかる手数料(信託報酬)が年0.05%〜0.1%前後と非常に安く抑えられているのが最大の強みです。
2. アクティブ運用の考え方:市場平均以上を狙う難しさ
アクティブファンドは、専門家たちが企業を訪問して調査したり、財務諸表を細かく分析したりして、「これから大きく伸びそうな会社」や「いま割安に放置されている会社」を選んで投資します。
目指すのは、市場の平均点(インデックス)を上回る成績を出すことです。
しかし、アクティブ運用には次のような高い壁があります。
- 手数料(信託報酬)が高い: 専門家チームの調査や人件費がかかるため、信託報酬が年1.0%〜2.0%程度と高くなります。これは「毎年1%以上のハンデを背負って市場と戦う」ことを意味します。
- 長い目で見ると勝率が低い: 世界的な調査データを見ると、10年〜15年といった長い期間では、アクティブファンドの8割〜9割がインデックスファンドに成績で負けてしまっています。
- 勝ち続けられる保証がない: 過去数年間で素晴らしい成績を出したアクティブファンドであっても、担当者が変わったり相場の流れが変わったりして、次の数年も勝ち続けられるとは限りません。
3. どう使い分ければよいか
「インデックスが絶対に正しくて、アクティブが悪い」というわけではありません。自分の目的に合わせて使い分けることが大切です。
- インデックスが向いている場面: 資産づくりの土台。「市場の平均点で十分」「手数料をできるだけ抑えてじっくり増やしたい」「ほったらかしで運用したい」という場合に最適です。
- アクティブを検討してもよい場面: 資産全体のスパイスとして持つ。「情報の少ない中小型株など、プロの調査力が活きやすい分野に投資したい」「特定のテーマや企業の理念に強く共感して応援したい」という場合に、資産の一部として持つのがよいでしょう。
次節 3-3 分配金とは何か では、投資信託でよくある誤解のひとつである「分配金」の仕組みを詳しく見ていきます。