分配金を出さないインデックスファンドが多いのはなぜ?
インデックスファンドに無分配型が多い理由を、配当とファンド内再投資の違いから整理するコラムです
S&P500 や全世界株式に連動する投資信託を見ると、中に入っている企業は配当を出しているのに、ファンド自体は分配金を出さない方針のものが多くあります。ここで分けたいのは、投資先企業からファンドに入る配当 と、ファンドから投資家へ出る分配金 です。
たとえば純資産 100 億円のインデックスファンドが、投資先企業から 1 億円の配当を受け取ったとします。その 1 億円を投資家へ分配すれば、ファンドの外へお金が出ます。一方で、分配せずにファンド内に残せば、100 億円に 1 億円を足した資産で運用を続けるイメージになります。無分配型が多いのは、配当を受け取っていないからではなく、受け取ったお金を外に出さず、運用に残す設計だからです。
- 中の株式が配当を出していても、ファンドが投資家へ分配金を出すとは限りません。
- 無分配型では、配当などの収益をファンドの中に残して運用を続けます。
- 分配金を出すと、ファンドの資産が外へ出るため、その分だけ基準価額は下がります。
- 課税口座では、普通分配金として外へ出ると、税引後の金額から再投資することになります。
1. 配当を受け取っていないわけではない
インデックスファンドが分配金を出していないと、中の企業の配当はどこへ行ったのか と感じるかもしれません。ですが、分配金を出さないことは、配当を受け取っていないこととは別です。ファンドの中に入っている株式が配当を出せば、そのお金はまずファンドに入ります。
そのうえで、ファンドがそのお金を投資家へ現金で分配するのか、ファンドの中に残して運用を続けるのかが分かれます。投資家の手元に分配金が来なくても、ファンドの中で資産として残っているなら、配当が消えているわけではありません。
2. 外に出さず、ファンド内で運用を続ける
無分配型では、受け取った配当や利子などをファンドの外へ出さず、ファンド内で運用を続けます。投資家は現金を受け取りませんが、その分だけファンドの中に資産が残ります。見るべきなのは、分配金の有無だけではなく、基準価額の動きも含めた トータルリターン です。
純資産 100 億円のファンドに、配当や利子などの収益が 1 億円入ったとします。分配せずに残すなら、ファンドは 101 億円を運用に回せます。分配金として 1 億円を外へ出すなら、ファンドの中に残る資産は 100 億円に戻るイメージです。
さらに課税口座では、普通分配金として投資家の手元に出た時点で税金がかかることがあります。税金を 20% として単純化すると、1 億円を受け取っても、投資家が再投資に回せるのは約 0.8 億円です。つまり、いったん外へ出してから買い直すより、最初からファンド内に残す方が、運用に回る金額を削りにくくなります。
| ケース | ファンドの中で起きること | 次の運用に回る金額 |
|---|---|---|
| 1億円を分配しない | 100億円 + 1億円 = 101億円として運用を続ける | 1億円がファンド内に残る |
| 1億円を分配する | 1億円がファンドの外へ出る | 課税口座では税引後の約0.8億円から再投資する例になる |
| 同じ差が続く | 外へ出した分だけ、ファンド内で積み上がる資産が小さくなる | 長期では複利に回る金額の差が広がる |
実際の税金は、口座の種類や分配金の種類によって変わります。ここでは、課税口座で普通分配金を受け取る場合のイメージとして、税金を 20% として単純化しています。
一方で、分配金を出すと、ファンドの資産の一部が投資家へ現金として支払われます。現金を受け取れる反面、ファンドの中に残る資産は減ります。だからこそ、分配金の額だけで良し悪しを判断するのではなく、分配後の基準価額や長期の成績も合わせて見る必要があります。
3. 資産形成では、無分配型が合いやすいことがある
これから資産を育てる時期なら、受け取った分配金をまた投資に回したい人が多くなります。その前提なら、最初からファンドの中で運用が続く無分配型の方が仕組みとして分かりやすいことがあります。自分で受け取って、また買い直す手間も減ります。
ただし、分配金を出す商品がすべて悪いわけではありません。現金が必要なときは、分配金を受け取る方法も、必要な金額だけ投資信託を売却する方法もあります。大切なのは、分配金を出すかどうかだけではなく、ファンド内に残る金額、税引後に再投資できる金額、基準価額を含めたトータルリターンを合わせて見ることです。
本文に戻るなら
- 分配金の基本は 3-3 分配金とは何か
- 分配金と再投資の違いは 3-4 分配金を出すケースと再投資されるケース
- 毎月分配型の注意点は 毎月分配型投資信託はなぜ注意が必要?