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資産運用のイロハ第4章 ポートフォリオを作る

4-1 ポートフォリオって何?

個別商品の寄せ集めではなく、全体のバランス(資産配分)が運用成果のほとんどを決める理由と、自分に合う配分の見つけ方を解説します

第3章までで、株式や投資信託の特徴、利益とリスクの仕組み、手数料を見てきました。ここからは、これらを自分の目的に合わせてバランスよく組み合わせる 「ポートフォリオ」 の作り方に入ります。

投資の世界では、「どの株が値上がりするかを当てること」よりも、「資産全体をどのような割合で分けるか(資産配分)」 こそが、長い目で見た運用の成果の8割以上を決めることが知られています。商品を1つずつバラバラに見るのではなく、資産全体をひとつのチームとして見渡す視点を持ちましょう。

このページで押さえたいこと
  • ポートフォリオとは、単なる持っている株のリストではなく、全体のリスクとリターンを考えて意図して組み合わせた「資産全体のバランス」のことです。
  • 同じ商品を持っていても、資産全体の中で「どれくらいの割合で持つか」によって、下落時の落ち込みの深さは大きく変わります。
  • バランスを決めるときに一番大切なのは、「何パーセント増やしたいか」よりも、「大暴落が起きたときに、どれくらいの下落までなら落ち着いて耐えられるか」です。
  • 最適なバランスは年齢だけで一律に決まるものではなく、お金を使う目的、使うまでの期間、家計の余裕、本人の性格などによって人それぞれ異なります。

1. 「商品の寄せ集め」から「全体のバランス」へ

多くの人は、「話題の株を少し買い、人気の投資信託も積み立ててみる」というように、気になった商品をバラバラに買ってしまいがちです。しかし、これでは「全体でどれくらい危険な状態になっているのか」「相場が暴落したときに自分の資産がいくら減ってしまうのか」が分からなくなってしまいます。

商品選びと設計は別の問い
株式や投資信託の特性を理解したうえで、自分が許容できる値動きに合う全体の構成を考えます。
商品ごとに選ぶ米国株ファンド高配当ETF人気テーマ型話題のファンド中身が重なる?偏りに気づきにくい視点を切り替える全体を設計する株式50%債券25%預金25%全体のバランス役割と比率で構成する

ポートフォリオの考え方では、まず「株式を何割、債券を何割、現金を何割にするか」という全体のバランスを決め、その枠組みの中に実際の商品を当てはめていきます。この全体の割合を決めることこそが、運用の成功を一番大きく左右します。

2. 「どれくらいの下落に耐えられるか」から逆算する

資産のバランスを決めるとき、最初に考えるべきなのは「年何%増やしたいか」ではなく、「相場が一番悪くなったときに、資産全体で何%までの下落なら耐えられるか」 です。

  • リスクに強い人(リスク許容度が高い): 「一時的に資産が30%〜40%減っても、10年以上先まで使う予定がないので平気だ」と思えるなら、株式などの割合を70%〜90%と高めにする積極的な配分ができます。
  • 値下がりが怖い人(リスク許容度が控えめ): 「資産が10%でも減ると夜も眠れない」「数年以内に使う予定がある」という場合は、債券や預金などの守りの資産を50%以上組み入れた、落ち着いた配分にする必要があります。
株式比率を動かして、リスクとリターンの変化を見る
スライダーを動かすと、100万円を1年運用したときのレンジがどう変わるかを確認できます。
資産配分
守り重視成長重視
預金 12%
債券 38%
株式 50%
100万円の1年後のレンジ
100万 スタート
50万100万150万
下振れ
954,656円
期待値
1,046,640円
上振れ
1,138,624円

年間目安。株式リスク18% / 債券リスク5% / 相関ゼロの概念値で、実際の商品・期間・相関によって変わります。

いくら計算上大きく増える組み合わせであっても、相場が暴落したときに怖くなって途中で全部売ってしまっては元も子もありません。「どんなに相場が荒れても、落ち着いて持ち続けられるバランス」こそが、自分にとっての正解です。

3. 年齢のルールに縛られすぎない

「100 - 年齢 = 株式の割合」といった単純な計算ルールを見かけることがありますが、実際の最適なバランスは人それぞれの状況によって違います。

年齢だけでは、ポートフォリオは決まらない
年齢は一つの要素にすぎず、目的と本人が許容できる値動きで比率は変わります。丸の大きさが配分の大きさを表しています。
Aさん(55歳)退職資金とは別に余裕資金がある長く使わない資金を育てたい(15年以上)リスク許容度:高め株式45%預金20%REIT15%10%債券10%コモディティBさん(38歳)子供の教育費を5年で準備使う時期が近い資金を守りたい(約5年)リスク許容度:低め預金45%債券25%株式15%10%REIT5%コモディティCさん(25歳)独身・会社員長期で増やしたいが、大きな下落は苦手(20年以上)リスク許容度:中くらい株式30%預金25%債券20%REIT15%コモディティ10%
  • 50代でもリスクを取れるケース: すでに十分な貯金や自宅があり、子育ても終わって老後まで使わない余裕資金であれば、50代であっても株式の割合を高めにして問題ありません。
  • 30代でも手堅くいくべきケース: 30代であっても、数年後に住宅の頭金や子どもの教育費でまとまったお金を使う予定があるなら、絶対に元本を減らせないため、預金や国債など安全な資産を多めにする必要があります。
  • 20代でも少しずつ始めるケース: 若くても、投資に慣れておらず値動きがストレスになる場合は、少額から始めて少しずつ慣れていくのが賢明です。

世間の平均や他人のやり方をそのまま真似するのではなく、「なぜ自分はこの割合にしているのか」を納得できていることが一番大切です。

次節 4-2 分散を考えるときの3軸 では、資産全体のブレを抑えるための「分散投資の3つのポイント」を具体的に見ていきます。

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