4-4 リバランスと見直しの基本
相場の値動きで崩れた資産のバランスを元に戻す「リバランス」のやり方と、生活環境が変わったときの見直しの基準を解説します
4-3 ポートフォリオを最適化する で自分に合った資産のバランスを決めました。しかし、どれほどきれいにバランスを整えても、時間が経つとそれぞれの商品の値上がりや値下がりによって、割合は必ず崩れていきます。
ポートフォリオを長く健全に保つために欠かせないのが、「リバランス(バランスの修正)」 と 「リアロケーション(目標バランスの見直し)」 です。日々の相場に慌てることなく、決めたルールに沿って資産を整え続けるコツを整理します。
- リバランスとは、相場の値動きで崩れてしまった資産のバランスを、最初に決めた目標の割合に戻す調整のことです。
- リバランスをすることで、知らず知らずのうちにリスクを取りすぎてしまうのを防ぐと同時に、「高くなった資産を売って、安くなった資産を買い増す」という合理的な行動が自然にできます。
- リバランスのやり方には、年に1回など決まった時期に行う方法や、目標から5%以上ずれたときに行う方法があります。
- 税金をかけずにリバランスするには、持っているものを売るのではなく、毎月の積み立てで「比率が減っている資産」を多めに買う方法(ノーセル・リバランス)がとても便利です。
- 相場のズレを元に戻す「リバランス」と、人生の転機で目標のバランスそのものを変える「見直し」はしっかり区別して行います。
1. 資産のバランスは、放っておくと勝手にリスクが高くなる
例えば、「株式50%:債券50%」という半分ずつのバランスでスタートしたとします。その後、株式相場が好調で株価がどんどん上がると、手元の資産に占める株式の割合はいつの間にか65%や70%に膨らんでいきます。
資産が増えているので一見良いことのように思えますが、実は最初の計画よりも「値下がりのショックを受けやすい危険な状態」になっています。この状態で相場の大暴落が来ると、想定以上の大きな痛手を負ってしまいます。
リバランスの一番の目的は、「相場を予想して儲けること」ではなく、「資産全体のリスクを、自分が耐えられる範囲にしっかり抑え続けること」 にあります。
2. 実践しやすいリバランスの方法
リバランスを行うタイミングとして、あらかじめ自分なりのルールを決めておくと迷いません。
| やり方 | 実行するタイミング | メリット |
|---|---|---|
| 定期的に行う(時間ルール) | 年1回(年末など)や半年に1回 | 日々の値動きを気にせず、定期点検のように落ち着いて見直せる |
| ズレたときに行う(幅ルール) | 目標の比率から ±5% や ±10% 以上ズレたとき | 相場が大きく動いたときだけ、最小限の手間で修正できる |
| 新しいお金で調整する(積立ルール) | 毎月の積立やボーナス投資のとき | 持っている資産を売らないため、税金がかからず手数料も抑えられる |
特にNISAなどを活用している人におすすめなのが、「新しいお金で比率を整える方法(ノーセル・リバランス)」 です。持っている商品を売って買い直そうとすると、税金がかかったりNISAの枠を使ってしまったりします。毎月の積立額を「いま割合が減っている資産」に多めに振り分けることで、売らずに自然とバランスを元に戻すことができます。
3. 「元に戻す(リバランス)」と「目標を変える(見直し)」の違い
資産の割合を調整するとき、混同しないようにしたいのが次の2つの違いです。
- リバランス(元のバランスに戻す): 自分の生活や目標には変化がなく、相場の動きでバランスが崩れただけの場合です。このときは、最初に決めた目標の割合へ機械的に戻します。
- 目標自体の見直し(リアロケーション): 結婚、出産、住宅購入、退職など、人生の状況が変わってお金を使う時期やリスクへの許容度が変わった場合です。このときは、過去の配分にこだわらず、「株式の割合を70%から40%に減らす」といった目標設定そのものを新しく作り直します。
その場の思いつきや感情で売り買いするのではなく、決めたルールと人生の節目に合わせて見直していくことが、投資を長く成功させるための大切な習慣です。
全4章を通じて、資産運用の前提づくり、株式の基本、投資信託の仕組み、そして資産全体の組み合わせと見直しまでを見てきました。
続く リファレンス では、用語集や計算式、よくある疑問(FAQ)をいつでも調べられる一覧としてまとめています。