4-2 分散を考えるときの3軸
10銘柄前後という目安から入り、金融商品、業界、国・地域の3軸で分散を確認するページです
分散を考えるとき、多くの人が最初に気にするのは 何銘柄くらい持てばよいのか です。個別株では、1銘柄だけを持つより、10銘柄前後に分けるだけでも会社ごとの影響はかなり薄まりやすいと考えられます。ただし、これは なんでも10銘柄買えばよい という意味ではありません。大切なのは、銘柄数を入口にしながら、金融商品、業界、国・地域の3軸で中身を確認することです。
- 個別株では、10銘柄前後でも会社ごとの影響はかなり薄まりやすいと考えられます。
- ただし、銘柄数だけを増やしても、分散できているとは限りません。
- 分散は、金融商品、業界、国・地域の3軸で確認します。
- 投資信託でも、1本で多くの銘柄を持てる便利さと、中身の重なりは分けて見ます。
1. 10銘柄前後でも会社ごとの影響は薄まりやすい
個別株を1銘柄だけ持つと、その会社の値動きが資産全体に大きく影響します。業績の下方修正、不祥事、主力商品の不振など、1社固有の材料がそのまま自分の資産に効いてしまうからです。
そこから銘柄を増やしていくと、特定の会社に左右される度合いは少しずつ薄まり、分散効果が出てきます。一つの目安としては、10銘柄前後でも会社ごとの影響はかなり薄まりやすいと考えられます。最初の数銘柄を増やす効果は大きい一方で、20銘柄、30銘柄と増やしても、リスクの下がり方は徐々に緩やかになります。
ただし、10銘柄が絶対の正解というわけではありません。資金量、管理できる数、どれくらい個別企業を追えるかによって、持ちやすい銘柄数は変わります。さらに、銘柄数だけを増やしても、似た性質の商品や同じ業界、同じ国に偏っていれば、分散の効果は限られます。
2. 3つの軸で、性質の違う商品を組み合わせる
分散を考えるときは、何本持っているか よりも 何が分かれているか を見ます。確認したいのは、金融商品、業界、国・地域の3つです。
| 軸 | 何を見るか | 偏りやすい例 |
|---|---|---|
| 金融商品 | 株式、債券、REIT、預金などの構成 | 株式だけに偏って、値動きが大きくなる |
| 業界 | 情報技術、ヘルスケア、金融、生活必需品などの比率 | 人気業界へ集中して、同じ材料で一緒に動きやすくなる |
| 国・地域 | 米国、日本、先進国、新興国などの配分 | 特定の国へ寄りすぎて、その市場の影響を強く受ける |
例えば、10銘柄を持っていても、すべて米国のハイテク株に近いような中身なら、見た目ほど分散は効きません。逆に、本数はそこまで多くなくても、株式だけでなく債券や預金を組み合わせたり、業界や国・地域を分けたりしていれば、偏りは見えやすくなります。
ここで言いたいのは、性質の違う金融商品を組み合わせることです。株式を10銘柄持つことは、会社ごとの影響を薄める助けになります。ただし、ポートフォリオ全体で見れば、株式だけに偏っていないか、同じ業界に寄っていないか、特定の国へ集中していないかまで確認して、初めて分散の質が見えてきます。
3. 投資信託でも考え方は同じ
投資信託の場合は、1本で多くの銘柄を持てるため、個別株より分散しやすく見えます。たとえば S&P500 に連動する投資信託を1本買うだけで、米国の代表的な約500社へまとめて投資できます。これは、個別株を自分で500銘柄そろえるより、ずっと扱いやすい方法です。
ただし、1本で多くの銘柄を持てることと、ポートフォリオ全体が十分に分散できていることは同じではありません。S&P500 型なら約500社に投資できますが、基本的には米国株、特に米国大型株を中心に持つ商品です。全世界株式と S&P500 を両方持つ場合も、名前は違っていても米国大型株が重なりやすくなります。この重なりは、第3章の 3-5 投資信託を選ぶときの確認ポイント や、コラム 全世界株式とS&P500を両方持てば分散になる? でも扱っています。
投資信託でも、見る順番は同じです。何本持っているか ではなく、金融商品、業界、国・地域の3軸で中身を確認します。複数本に増やすときは、分散を増やしているのか、同じ性質の商品を厚くしているだけなのかを分けて考えます。
ここまでで、個別株でも投資信託でも、分散は本数ではなく中身で見るものだと分かりました。次は、候補にする商品が見えてきたあと、それぞれをどれくらいの比率で持つかを考えます。