3-4 分配金を出さないインデックスファンドが多いのはなぜ?
中の株式は配当を出しているのに、ファンド自体はなぜ無分配が多いのかを再投資と基準価額の関係から整理するページです
S&P500 に連動する投資信託を見ると、中に入っている企業は配当を出しているのに、ファンド自体は分配金を出さない方針のものが多くあります。ここで混同しやすいのは、分配金が出ない = 配当を受け取っていない ではないことです。実際にはファンドは中の企業から配当を受け取り、そのお金を投資家へ外に配らず、ファンドの中に残して再投資を続ける設計がよく使われます。これが分かると、分配金がないのは損なのでは という見え方が変わります。
- 中の株式が配当を出していても、ファンドが投資家へ分配金を出すとは限りません。
- 無分配型では、受け取った配当はファンド内に残り、基準価額へ反映されやすくなります。
- 長期の積み立てでは、外へ出さず再投資する方が複利を働かせやすくなります。
- 課税口座では、分配のたびに課税されるより、無分配の方が効率的なことがあります。
- 一方で、現金として受け取りたいなら、ETF のように分配を前提に使いやすい商品を見る考え方もあります。
1. 中の株式が配当を出していても、ファンドは分配しないことがある
S&P500 のような株価指数に連動するファンドでも、中に入っている企業はそれぞれ配当を出しています。つまり、ファンドにも配当相当の現金は入ってきます。ただし、その現金をそのまま投資家へ配るか、ファンドの中に残すかは分配方針で決まります。無分配型では、そのお金は信託財産の中に残り、再投資されることで基準価額へ反映されていきます。
だから 分配金が出ない = 何も受け取っていない ではありません。実態としては、現金で受け取らず、ファンドの中で持ち続けている と考える方が近くなります。特に長期の積み立て向けファンドでは、この形の方が成績の見方も整理しやすくなります。
2. 分配金を外へ出さないのは、ファンドの中で再投資を続けたいから
長期で資産を増やしたいときに大事なのは、入ってきたお金をまた働かせ続けることです。もし配当相当のお金を毎回外へ出してしまうと、そのぶんファンドの中で運用される元本は小さくなります。自分で再投資し直せば同じに見えますが、実際にはタイミングや手間が増え、課税口座では税金のぶんだけ再投資に回せる額も減りやすくなります。
たとえば単純化して、運用資産が 1,000 億円あり、ファンドの中にある株式から年間 1% の配当相当が入ってくるとします。このときファンドに入る現金は年間 10 億円です。もしこの 10 億円を、すべて課税口座で保有している投資家へ分配すると、税率 20.315% なら概算で約 2 億円が税金として差し引かれ、再投資に回るのは約 8 億円になります。無分配でファンドの中に残せば、この差額ぶんも含めて運用に回し続けやすくなります。
中の株式から入ってきた配当を、投資家へ現金で配る代わりに、ファンドの中で再投資しているだけです。見るべきなのは分配金の有無より、基準価額も含めたトータルリターンです。
3. 受け取るより増やしたい時期には、無分配型の方が自然
分配金を出すこと自体が悪いわけではありません。すでに資産を取り崩す段階に入り、定期的な現金収入が欲しいなら、分配を受け取る方が管理しやすい場面があります。ただし、その場合でも 分配金が多い = 良いファンド とは限らず、基準価額の動きと合わせて見る必要があります。
ここまでで持ちたいのは、無分配型のインデックスファンドは配当を捨てているのではなく、ファンドの中で再投資を続ける設計だという感覚です。一方で、あえて現金で受け取りたいなら、分配金を出す設計の ETF を使う考え方もあります。続きは 3-5 ETFと投資信託をどう使い分ける? です。次は、積み立てを続けたい場面と、分配金を受け取りたい場面で、ETF と投資信託をどう見分けるかを整理します。