資産運用のイロハ第1章 土台を作る

1-3 主な商品のリスクとリターン

主な商品を、リターンの源泉とリスクの出方で比べるページです

1-2 では、リターンは 何で増えるか、リスクは どれくらい値動きするか で見ると整理しました。1-3 では、その見方で主な商品を比べます。同じ100万円でも、預金のようにほとんど動かない商品もあれば、株式や仮想通貨のように大きく上下する商品もあります。商品名の人気ではなく、何で増えるのか どこまで下がりうるのか を見て、家計の中での役割に合うものを選びます。

このページで押さえたいこと
  • 過去のチャートは参考になりますが、この期間で一番伸びた商品 を選ぶためのものではありません。
  • まず見るのは、結果の順位より 100万円が途中でどれくらい動くか です。
  • 商品ごとに、リターンの源泉と値動きの大きさには傾向があります。
  • 預金や債券は土台にしやすく、株式や REIT は長期で育てる役割を持たせやすいです。
  • 投資信託は名前だけでは性格が分からないので、中に何が入っているかを見ます。

1. チャートでは、順位より値動きを見る

2021年4月末を100とした時系列
2021年4月末から2026年3月末までの月末ベースです。預金は2026年3月時点の1年定期金利0.425%を一定とした参考線です。

このチャートは 2021年4月末 = 100 の月末値を指数化した参考例です。ここで見たいのは、この期間では金が最も伸びたから、次も金を買う という結論ではありません。リターンは切り取る期間で大きく変わります。ある期間では金や仮想通貨が目立って見えても、別の期間では株式や REIT の方が強く見えることもあります。

一方で、途中でどれだけ値動きしたか、どこまで下がったかには商品ごとの傾向があります。チャートでは 何がいちばん伸びたか より、100万円を置いたらどんな道筋をたどりそうか を見ます。ゆっくり103万円になる商品もあれば、150万円近くまで上がったあとに80万円台まで下がる商品もあります。資産運用では、最後の順位より 途中でどこまで下がるか その値動きを自分が許容できるか の方が大事です。

2. 商品ごとの差を、低・中・高で整理する

低リスク
上下はあるものの、保有中の負担は比較的小さい。
中リスク
途中で大きめの値動きがあり、人によっては不安を感じやすい。
高リスク
大きく増える可能性がある一方で、大きく下がることもあり、許容しにくい値動きになりやすい。
商品リターンリスクリターンの中心
預金金利の積み上げ
先進国債券利息収入と景気悪化局面の下支え
REIT賃料収入と不動産市況の回復
株式企業利益の成長と配当
通貨不安やインフレ、地政学リスク時の逃避需要
コモディティ資源価格の上昇とインフレ連動
仮想通貨採用期待と需給主導の価格上昇

図と表では、商品の違いを 低・中・高 に丸めて整理しています。ここで先に見たいのは、何で増えるのかどんな理由で値動きするのか です。まず分かりやすいのは、預金と債券です。預金は利息で少しずつ増える商品で、値動きはほとんどありません。債券も利息が中心ですが、金利や景気の影響を受けるので、預金よりは動きます。

株式と REIT は、預金や債券より値動きが大きい商品です。株式は企業の成長や利益拡大、配当がリターンの中心で、景気や業績の影響を強く受けます。REIT は賃料収入や分配金を期待しやすい商品ですが、不動産市況や金利の影響を受けるため、株式とは少し違う理由で上下します。

金、コモディティ、仮想通貨は、利息や配当を積み上げるというより 価格変動そのもの が中心の商品です。大きく上がることもありますが、大きく下がる場面もあり、なぜ持つのか をはっきりさせておかないと、値動きに振り回されやすくなります。

投資信託やETFは、株式や債券などの金融商品を1つのバスケットとして組み合わせた商品です。従って、投資信託という名前だけでリスクやリターンの性格は決まりません。中身が全世界株式なら株式に近い値動きになり、債券中心の投資信託なら債券に近い値動きになります。比較するときは、投資信託かどうか ではなく、何をどの割合で持っているか を見ます。

3. リスクの出方を踏まえて、役割を分ける

商品を選ぶ順番は、一番伸びそうなものを探す ではなく、このお金にどんな役割を持たせるか です。ここではじめて、2で見た商品の性格を家計に当てはめます。たとえば3年後に使う住宅資金なら、増える可能性より 使う時に大きく減っていないこと が大事なので、値動きの小さい預金や債券の方が考えやすくなります。逆に20年以上先の老後資金なら、途中で下がる時期があっても、株式や株式中心の投資信託を主役にしやすくなります。

補助的な商品を見るときも同じです。金やコモディティ、仮想通貨は、値動きの大きさや値上がりの理由が株式や債券と違います。だから 何となく伸びそう で入れるより、インフレに備えたい 高い値動きを引き受けられる範囲で少しだけ持ちたい のように目的を決めて考える方が自然です。

ここで基準にしたいのは、100万円が90万円まで下がるなら持てるのか、70万円まで下がる商品は避けたいのか、という感覚です。リターンはあとから結果として見えるものですが、値動きの大きさは持つ前からある程度想像できます。その感覚と 1-1 の 役割分担 を合わせると、無理のない組み合わせを考えやすくなります。

4. 次に見るのは、株式

ここまでは商品を横並びで整理しました。第2章からは金融商品を1つずつ深掘りします。最初は 2-1 株とは何か です。

このページの内容