1-1 資産運用って何をするの?
金融商品を選ぶ前に、お金の役割分け(3つの色分け)と運用目的・期間・リスクの許容度を整理します
資産運用を始めようとするとき、多くの人は「いま何を買えば儲かるか」「どの投資信託が人気か」という商品選びから考えがちです。
しかし、自分に合った運用をするために最初に決めるべきなのは、商品名ではありません。まず考えるべきなのは、そのお金を 「いつ使う予定なのか(期間)」、「途中で一時的にどれくらい値下がりしても耐えられるか(リスクの許容度)」、そして 「何のためにいくら増やしたいのか(目的)」 という前提条件です。この前提がはっきりしていれば、たくさんある金融商品の中から、今の自分に必要なものが自然と絞り込まれていきます。
- 最初に決めるのは商品名ではなく、「お金を使う目的」「いつ使うか」「どれくらいの下落に耐えられるか」です。
- 手元のお金は、「生活防衛資金」「数年以内に使うお金」「長く育てるお金」の3つに分けて管理します。
- お金の使い道と期間が決まると、選んでよい商品と避けるべき商品が自然と見えてきます。
- 同じ商品を持っていても、資産全体の中でどれくらいの割合で持つかによって、日々の値動きの大きさは大きく変わります。
1. 考える順番を整える
資産運用でよくある失敗は、ランキングで上位にある人気商品(S&P500や全世界株式など)を、よく考えずに買ってしまうことです。人気商品を買うこと自体が悪いわけではありませんが、「何のために買ったのか」があいまいなままだと、相場が急落したときに怖くなって売ってしまい、損を確定させてしまうことにつながります。
大切なのは、「まず手元のお金の性格と使い道をはっきりさせ、その条件に合う商品を順番に選んでいく」ことです。この順番を守ることで、日々の相場の値動きに振り回されずに、落ち着いて運用を続けられるようになります。
2. お金の性格に応じた「3つの色分け」
手元のお金をひとまとめにして運用に回すのではなく、使い道や使う時期に合わせて次の3つに分けて考えるのが基本です。
1. 生活防衛資金(もしものためのお金)
病気やケガ、失業、急な出費などに備えるためのお金です。このお金で一番大切なのは、利回りの高さではなく、「いつでもすぐに引き出せて、元本が絶対に減らないこと」 です。生活費の3ヶ月〜半年分程度を目安に、銀行の普通預金などですぐに動かせる形にして置いておきます。
2. 数年以内に使うお金(使い道が決まっているお金)
結婚資金、住宅購入の頭金、子どもの進学費用など、おおむね3〜5年以内に使い道が決まっているお金です。いざ使うタイミングで株価が暴落して元本を大きく割り込んでいては困るため、株式のような値動きの大きな商品で運用するべきではありません。定期預金や個人向け国債など、元本割れのリスクがほとんどない安全な場所に置いておきます。
3. 長く育てるお金(10年以上使わないお金)
10年、20年以上先まで使う予定がないお金です。老後の生活資金などがこれにあたります。これこそが、本格的に増やしていく対象となるお金です。使うまでに長い時間があるため、途中の相場の下落を落ち着いてやり過ごしながら、株式や投資信託などでじっくりと増やしていくことができます。
最初から完璧に分けられなくても構いません。一番大切なのは、「数年以内に使う予定のある生活費まで、値動きの激しい投資に回してしまわないこと」 です。長く置いておけるお金だけを投資に回すことが、相場が下がったときにも慌てずに持ち続けるための最大の土台になります。
3. お金の性格に合わせて商品を選ぶ
お金の役割と使う時期がはっきりすれば、選ぶべき商品の種類も自然と決まります。
例えば、3年後に使う予定の住宅購入資金であれば、増やすことよりも「減らさないこと」が最優先です。そのため、株式のような値動きの激しい商品は避け、預金や国債を選びます。
一方で、20年後の老後に向けた資金であれば、途中の値下がりがあっても、経済の成長に合わせて大きく増やせる「株式」や「株式の投資信託」を中心に据えるのが合理的です。
そして最後に考えるのが、「何を買うか」だけでなく**「どの割合で持つか」**です。同じ1,000万円を持っていても、株式を200万円だけ持つ場合と、800万円持つ場合では、相場が動いたときの資産全体の増減の大きさが全く異なります。
お金の性格と期間が整理できたら、次は各金融商品のリターンと値動きの特徴を見ていきましょう。