1-2 リスクとリターン
投資におけるリスク(値動きのブレ幅)とリターンの関係を知り、自分に合った運用のペースを見つける方法を解説します
1-1 資産運用って何をするの? で長く運用できるお金を整理したら、次に知っておきたいのが「リスクとリターン」の仕組みです。
株式や投資信託は、預金よりもお金を大きく増やせる可能性がありますが、その代わりに価格が日々上がったり下がったりします。大切なのは、値下がりをただ怖がるのではなく、「投資におけるリスクとは何か」を正しく理解し、自分が安心して持ち続けられる範囲で運用することです。
- 投資の成果は、「値上がり益(売ったときの利益)」と「配当や利息(持っている間にもらえるお金)」の合計で考えます。
- 投資の世界での「リスク」とは、「危険」という意味ではなく「値動きのブレ幅(上にも下にも振れる大きさ)」のことです。
- 「リスクが低くてリターンが高い(大儲けできるのに損はしない)」という都合の良い商品は存在しません。
- 運用を長く続けるためには、「相場が暴落したときに、自分はどれくらいのマイナスまで耐えられるか(リスク許容度)」を知っておくことが大切です。
- 「分散投資」をすることで、大損するリスクを抑えながら、安定した成果を目指せます。
1. 自分はどれくらいの下落に耐えられるか
例えば100万円を投資するとき、次の2つの選択肢があったらどちらを選びたいでしょうか。
- タイプA: 150万円(+50%)に増えるチャンスがある代わりに、最悪の場合は50万円(▲50%)まで減る可能性がある
- タイプB: 110万円(+10%)程度までしか増えない代わりに、下がっても90万円(▲10%)程度で収まる
タイプAのように大きく増える可能性を狙いたい人は、「リスクを取る力(リスク許容度)が高い」といえます。株式などの値動きの大きな商品を中心にした運用が向いています。
一方で、タイプBのように「とにかくお金が大きく減るのが怖い」と感じる人は、「リスク許容度が控えめ」です。債券のような値動きが穏やかな商品や、現金の割合を多めにした運用が適しています。
2. 投資の利益は2種類ある
投資から得られるリターン(利益)には、大きく分けて2つの形があります。
- 値上がり益(キャピタルゲイン): 買ったときよりも高い値段で売ることで得られる利益です。株価の上昇などがこれにあたります。
- 持っている間にもらえるお金(インカムゲイン): 資産を持っているだけで定期的に手に入る収入です。株式の配当金、債券の利息、不動産の家賃収入などがこれにあたります。
「年5%増やしたい」と考えるときでも、「株価の値上がりで5%を狙う」のか、「配当や利息で手堅く5%を積み上げる」のかによって、選ぶべき商品や下落時の動きは大きく変わってきます。
3. リスクの正体は「危険」ではなく「値動きのブレ幅」
普段の生活で「リスク」というと「危険なこと」「損失」を思い浮かべますが、投資の世界でのリスクとは 「結果がどれくらい大きくブレるか(不確実性の大きさ)」 を指します。
例えば、「期待リターン年5%、リスク(ブレ幅)10%」という商品がある場合、統計的には1年後の結果が次のような範囲に収まりやすいことを意味します。
- およそ7割の確率で:▲5% 〜 +15% の範囲に収まる
- およそ9割5分の確率で:▲15% 〜 +25% の範囲に収まる
リスクが大きい商品を選ぶということは、「大きく増えるチャンスがある」と同時に、「同じくらい大きく減る可能性も引き受ける」ということです。「損をしないのに大儲けできる」という商品は世の中に存在しません。
4. 分散投資でブレ幅を抑える
値動きのブレ幅を抑えて、できるだけ安定して増やしていくための基本が 「分散投資」 です。
- 資産や銘柄を分ける: 株式と債券のように、値動きの特徴が違うものを組み合わせることで、一方が下がっても他方が支えてくれ、全体の落ち込みをやわらげます。
- 買う時期を分ける: 一度に全額を投資するのではなく、毎月一定額ずつ積み立てていく(ドルコスト平均法)ことで、高いときに買いすぎてしまう失敗を防ぎ、購入価格を平均的に均すことができます。
分散投資をしても損をゼロにすることはできませんが、「1つの失敗で資産全体が大打撃を受ける」という最悪の事態を防ぐことができます。
5. それぞれの金融商品の特徴へ
資産運用で一番避けたいのは、相場が下がったときに怖くなって途中で投げ出してしまうことです。そのためにも、「自分がどれくらいのマイナスまでなら落ち着いて見ていられるか」をあらかじめ知っておくことが大切です。
次節 1-3 主な商品のリスクとリターン では、預金、国債、株式、REIT(不動産)、金(ゴールド)など、代表的な金融商品の特徴と値動きの違いを具体的に比べていきます。